投稿日:2013年8月12日|カテゴリ:話題の最新歯科情報

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人間の生活において、よく噛んで物を食べる事は、栄養の吸収だけでなく、生活全体の改善につながる重要なファクターです。その食べる力を回復する「口腔(こうくう)リハビリテーション」が、最近注目されています。
東京都東大和市の老人ホーム「気まま館東大和」で暮らす板谷ちゑ子さん(96)は、5年前に言葉を失い、まっすぐ座ることも出来なくなってしまい、寝たきりになる危機にあったそうです。

 

原因は、合わない入れ歯で、入れ歯がすぐに外れてしまい、固形物を食べられなくなったことによるものです。流動食で栄養を取るようになると、車いすにもたれかかり、焦点の合わない目で一日中を過ごすようになったようです。

 

ついには会話も難しくなってしまったので、訪問診療医と連携して口腔リハビリテーションを行っている歯科医師が診察して、入れ歯を調整し、衰えた筋肉でも入れ歯を操れるように、口を動かしてもらいながら型を取って、新しい入れ歯を作製したそうです。

 

さらに、その歯科医師が施設の職員達に、首元や顔面をもみほぐし、専用ブラシで頬の内側や舌をきれいにしながら刺激する方法を指導したそうです。この方法によって、口の中を唾液で潤し、飲み込みに必要な筋肉を鍛えたそうです。 これを毎食後続けたところ、6週間後には固形物が食べられるようになり、3ヶ月後にはおしゃべりも復活したそうです。そしてその後に冗談のやりとりもできるほどに回復し、表情も生き生きとしてきたそうです。

 

施設長の中畠里美さんも、「もう元気を取り戻せないと諦めていたのに、これほど変わるとは」と喜んでいるとのことです。現在もこの施設では、認知症の人を含めたすべての利用者に口腔リハビリテーションを実施しているそうです。

 

このように回復力のある人が放置され、そのまま物が食べられずに、全身を衰えさせてしまうのは、人為的に作った寝たきり状態なのです。固形物が食べられなくなって寝たきりになってしまうようにならないうちに、介護施設でも歯科医師が積極的にかかわり、介護者が無理なく続けられる口腔リハビリテーションを指導することは、介護医療にとってとても重要なことなのです。