投稿日:2016年12月27日|カテゴリ:院長ブログ

入れ歯の歴史 その4


入れ歯の歴史

こんにちは。治田歯科医院の治田です。
今回も、歯が無くなってしまった時に入れる、入れ歯の歴史について書きます。

 
  前回は、入れ歯の歴史において、歴史の長さだけではなく、使い勝手も日本の入れ歯は、ヨーロッパの物に比べてはるかに優れていたことを書きました。

 
 前回も書いたように、日本の吸着させる入れ歯と違い、上の入れ歯をバネで支えるという、今考えるとかなり荒っぽい気もする「入れ歯」を使用していたヨーロッパでは、一体どんな入れ歯を使っていたのでしょうか。

 まず、当時の素材は、カバ・セイウチの牙、象牙、動物の骨、金属などが用いられていまた。金属にはエナメルを塗ったり、ホーローを焼き付けたりしていました。「動物」の中には「人間」も入っていたようで、死んだ人の歯も売り物になったために、1815年「ワーテルローの戦い」の戦場からも、多くの歯が各地に送られたそうです。また、アメリカの南北戦争(1861~65年)の頃も、戦場から人の歯が、なんと樽に詰められて英国に船便で送られていたこともあったそうです。なんだか想像するのも怖いような話です。

 形はどうだったかと言いますと、先ほども書いたように、粘膜に吸い付かせるという原理は全く考えられていなかったために、上下に馬蹄形の入れ歯を入れ、バネの力で上の入れ歯を上方に押して落ちないように工夫していました(写真参照)。最初は板バネを使用していたようですが、顎の粘膜を傷付けることが多かったために、スプリング状のバネを付けるように改良されました。

(その5に続く)