入れ歯の歴史 その3
こんにちは。治田歯科医院の治田です。
今回も、歯が無くなってしまった時に入れる、入れ歯の歴史について書きます。
前回は、日本の入れ歯の歴史において、平安時代の入れ歯につい書きました。
平安時代から「入れ歯」を使っていた日本です。鎌倉時代には「木床義歯」は全国的に普及し、江戸時代には独特の技法が完成しました。江戸後期の木床義歯(写真参照)は、前歯は蝋石を削って作ってあり、奥の噛む面には、金属の鋲が打ってあり、見かけだけではなく食事をすることも前提に作ってあるのが分かります。
対するヨーロッパではどうだったのでしょうか。近代歯科医学の父と言われる、フランスのピエール・フォシャールが発刊した「歯科外科医」という本の第2版(1746年刊)から、「総入れ歯」が登場しています。
日本の入れ歯が、平安時代から現在のような発想だったのに対し、ヨーロッパでは当時は、現在のように顎の粘膜に吸い付くという原理はまったく考えられていませんでした。
金属で作った入れ歯を上下に入れて、バネの力で支えていたので、装着しても不安定でした。
食事をするのはほとんど無理で、見た目だけの入れ歯だったようです。つまり、歴史の長さだけでなく、使い勝手も日本の物のほうがはるかに優れていたと言えるでしょう。
(その4に続く)