入れ歯の歴史 その1
こんにちは。治田歯科医院の治田です。
今回は、歯が無くなってしまった時に入れる入れ歯の歴史について書きます。
歯が無くなって困っていたのは数千年前の人達も同じだったようで、どうやら「紀元前」から入れ歯というのはあったらしいのです。
地中海周辺の古代フェニキアのシドン(現在のレバノン・サイダ市)では紀元前5世紀頃のお墓から、下の前歯を金の針金で固定したものが発掘されました。
これは、天然歯(まだ抜けていない歯)を土台として、歯が抜けないように金の帯状の板で固定したものです。磨耗で歯が磨り減って神経が出てしまったので抜歯したというケースも考えられるのですが、この時代にも、ちゃんと虫歯菌や歯周病菌がいたようなのです。こうしてみると、人間の虫歯や歯周病との付き合いの長さには、ちょっと驚くものがあります。
紀元前から歯に悩まされ、なんとか歯を元通りにしようとしてきたヨーロッパ人です。日本における縄文時代に、選挙や公衆浴場や居酒屋や競技場があったヨーロッパですから、さぞかし技術が進んでいたと思われるでしょう。ところが、意外なことに日本の方が、今の入れ歯に近い考え方の物をかなり昔から使っていたようです。
(その2に続く)