投稿日:2016年12月12日|カテゴリ:院長ブログ

歯の冷凍保存について その1


歯の冷凍保存について

こんにちは。治田歯科医院の医院長の治田です。
今回は最近話題の歯の冷凍保存について書きます。

 私達の歯とそれを支える骨との間には、歯根膜と呼ばれる、歯と骨をつなぐ靭帯のような役割を果たす組織があります。この歯根膜は、食べ物を噛んだりする際の、食べ物の硬さを感じ取るセンサーの役割や、歯にかかる振動を直接顎の骨に伝えないようにするクッションの役割や、まわりの歯や骨を保護する役割も果たしており、自然な噛み心地を得るためには、非常に重要な働きをしています。

 そのため、歯根膜が損傷を受けてしまうと、歯がグラついたり、あるいは歯の根そのものが、腐ったりすることもあります。

 このように重要な役割を果たす歯根膜が生きた状態の歯は、いったん抜いた後であっても再植することにより自然な噛み心地を再現することが可能になります。

 最近の研究では、そのような歯根膜を歯ごと冷凍保存する技術の開発に成功し、その技術によって全国的に大学や企業が「歯の銀行」を事業化させてきています。

 この事業は、親知らずや、矯正治療などによって、健康な状態で抜いた歯を「歯の銀行」に預けて冷凍保存し、その後に、歯周病や虫歯などで、必要な歯を失ったときに、保存しておいた自分の歯を移植できるというシステムです。

(その2につづく)